著作権と商標権は、両方とも知的財産を保護するためのものですが、違いがよくわからない人が多いと思います。
著作権とは、思想又は感情を創作的に表現すると発生する権利です。
なので、小説を書いたり絵を描くなど、ものを創作するだけで財産的な著作権と著作者の人格を守る権利が発生します。
商標権とは、自分の商品やサービスを識別して保護するための権利です。
基本的に会社名、商品名、サービス名などは著作権で保護されないので、特許庁へ商標登録してブランドを保護する必要があります。
著作権より商標権の方がよくわからない人が多いと思いますので、主に商標権について説明したいと思います。
もくじ
商標とは

まず、商標とは何か詳しく知るため定義を確認します。
(定義等)第二条
この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
定義を読むと、商標として登録できるのは、文字だけではなく、図形や記号などでもよいことがわかります。
ただし、普通に使われている言葉などは登録できません。(商標法3条)
商標の種類は以下になります。
- 文字商標
- 図形商標
- 記号商標
- 立体商標
- 結合商標
ここから先は、近年になって新しく認められるようになったものです。
- 動き商標
- ホログラム商標
- 色彩商標
- 音商標
- 位置商標
商標登録する場合、登録したい商標をどのような商品又は役務(サービス)に使用するか指定する必要があります。
かなり省略しましたが以下のような感じで45の類に区分されていて、複数を選択することも可能です。
- 第1類 化学品 他
- 第2類 塗料 他
- 第3類 せっけん類 他
- 第4類 工業用油 他
- 第5類 薬剤 他
- 第6類 鉄及び鋼 他
- 第7類 金属加工機械器具 他
- 第8類 手動工具 他
- 第9類 理化学機械器具 他
- 第10類 医療用機械器具 他
- ~ 省略 ~
つまり、登録する商標と、指定する商品や役務によって権利の範囲が決まることになります。
商標 +(指定商品・指定役務)= 権利の範囲
例えば、『ホリエモン』という文字商標を調べると、9、14、16、28、30、32、41類で登録されていることがわかります。
商標を調べる方法 → 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
著作権と商標権の違い

他者のものと類似した場合
著作権法では、他者の著作物に基づいてない場合(依拠性がない)、著作権侵害にはなりません。
つまり、偶然他者の著作物と同じようなものが創作されても問題ないということです。
商標権は、相手が商標を知ってるかどうか関係なく権利を行使することができます。
登録されている商標は、誰でも調べることができますので、言い訳はできないようです。
- 著作権は、依拠性が関係してくる
- 商標は他者が知っているかどうか関係ない
料金は必要?
権利を得るためにお金が必要かどうかですが、著作権は創作した時点で自然に発生するので、お金はかかりません。
商標権は、指定する商品や役務の区分数に応じお金が必要です。
- 著作権は、お金がかからない
- 商標出願料 3,400円+区分数×8,600円
- 商標登録料 区分数×28,200円 (10年分)
- 商標更新料 区分数×38,800円 (10年分)
保護される期間
著作権は、著作者の死後70年間です。
商標権は登録後10年間ですが、更新可能なので半永久的に保護することが可能です。
商標権と著作権を別々の人が持つ場合
著作権と商標権とは別の権利ですので、別々の人が持つ場合も考えられます。
例えば、他人の著作物を勝手に商標登録してしまうとかです。
その場合、著作権が先に生じていれば、著作権と抵触する部分の登録商標の使用ができません。
(他人の特許権等との関係) 第二十九条
商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。
【まとめ】ブランドを保護するには商標登録
簡単にまとめると、著作権は創作したものを保護する権利ですが、商標権はブランドを保護する権利です。
自分の会社名や、商品、サービスを保護する場合は商標登録をしましょう。
ロゴやキャラクターは、著作権法で保護される可能性がありますが、商標登録をすることにより、依拠性がない場合でも保護することができます。
特に、文字だけのロゴの場合は、著作物として認められづらいので、商標登録で保護することが大切です。
ちなみに、Ⓡマークは商標登録済みであることを示しますが、必ず付ける必要があるというわけではないです。
ただ、登録商標だということを他者に認識させるには、Ⓡマークでアピールすることも大切だと思います。
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