国民年金基金入るべきか?という問題ですが、
65歳から受け取り始めて、80歳過ぎてようやく掛金額に対し受取額の方が多くなっていくので、以下のような方は入るべきではないと思います。
国民年金基金に入るべきではない
- 良い利率で運用できるものが他にある方
- 資金が動かせなくなるのは嫌な方
- お金の余裕があまりない方
ただし、税の軽減なども含めて考えると、76歳ぐらいでも元が取れる計算なので、以下のような方は加入するのもありだと思います。
国民年金基金に入るべき
- お金の余裕があり、銀行に貯金しとくよりはマシだと思う方
- 長生きする自信があるので受取額を少しでも増やしたい方
- 所得控除により税金を減らしたい方
では国民年金基金の仕組みを簡単に説明し、加入ケースを元に国民年金基金入るべきか詳しく考えたいと思います。
もくじ
国民年金基金の給付タイプ

国民年金基金は、給付タイプと口数を自分で選択しなければならないです。
1口目はA型かB型を選択し、2口目以降は7種のタイプから選びます。
2口目以降は、終身受け取れるものと、支給される期間が決まっているものがあるので選択に迷うと思います。
B型には保証期間がなく、年金受給前または保証期間中に亡くなった時、遺族に一時金が支給されません。
1口目
タイプ | 支給 | 保証期間 |
---|---|---|
A型 | 65歳~終身 | 15年間 |
B型 | 65歳~終身 | なし |
2口目以降
タイプ | 支給 | 保証期間 |
---|---|---|
A型 | 65歳~終身 | 15年間 |
B型 | 65歳~終身 | なし |
Ⅰ型 | 65歳~80歳 | 15年間 |
Ⅱ型 | 65歳~75歳 | 10年間 |
Ⅲ型 | 60歳~75歳 | 15年間 |
Ⅳ型 | 60歳~70歳 | 10年間 |
Ⅴ型 | 60歳~65歳 | 5年間 |
1口あたりの掛金額と受取額(A型の例)

国民年金基金の掛金は、給付タイプ、年齢、性別により異なりますが、今回はA型のみを例に出します。
掛金と年金の特徴
- 年金額は、加入時の年齢(月単位)による
- 男性より女性の方が掛金が少し高い
- 掛金の合計額は、月額 68,000円が上限
A型1口目の掛金額と年金月額
加入時年齢 | 男性 | 女性 | 年金月額 |
---|---|---|---|
20歳誕生月 | 7,110円 | 8,280円 | 2万円 |
25歳誕生月 | 8,470円 | 9,860円 | 2万円 |
30歳誕生月 | 10,300円 | 11,990円 | 2万円 |
35歳誕生月 | 12,870円 | 14,980円 | 2万円 |
40歳誕生月 | 12,555円 | 14,610円 | 1万5千円 |
45歳誕生月 | 17,430円 | 20,280円 | 1万5千円 |
50歳誕生月 | 18,150円 | 21,100円 | 1万円 |
A型2口目以降の掛金額と年金月額
加入時年齢 | 男性 | 女性 | 年金月額 |
---|---|---|---|
20歳誕生月 | 3,555円 | 4,140円 | 1万円 |
25歳誕生月 | 4,235円 | 4,930円 | 1万円 |
30歳誕生月 | 5,150円 | 5,995円 | 1万円 |
35歳誕生月 | 6,435円 | 7,490円 | 1万円 |
40歳誕生月 | 4,185円 | 4,870円 | 5千円 |
45歳誕生月 | 5,810円 | 6,760円 | 5千円 |
50歳誕生月 | 9,075円 | 10,550円 | 5千円 |
加入例を元に、いくらもらえるか年金額を計算

2つの例を元に、掛金総額に対し受取額の方が多くなるのは何歳頃か計算したいと思います。
国民年金基金連合会のホームぺージで、掛金額と年金額をシュミレーションできるので、みなさんも試してみてください。
参考:厚生年金基金連合会 → 年金額シュミレーション
ケース① 35歳男性(課税所得400万円)
国民年金基金の加入プラン
- 1口目 A型(掛金12,870円)
- 2口目以降 A型×2口(掛金6,435円×2口)
- 払込期間25年
- 所得税と住民税が、合計で年間93,961円(概算)軽減
掛金額
月々 25,740円 = 12,870円 + 6,435円×2口
年間 308,880円 = 25,740円 × 12ヵ月
総額 7,722,000円 = 308,880円× 25年
税の軽減を考慮した場合
総額 5,372,975円 = (308,880円-93,961円)× 25年
受取額
月々4万円(年間48万円) = 2万円 + (1万円×2口)
掛金額に対し受取額の方が多くなる年齢
掛金総額を月々の受取額で割ると、65歳から受取り始めて16年後の81歳ぐらいで元が取れるとわかります。
193ヵ月(16年と1ヵ月) = 7,722,000円 ÷ 4万円
税の軽減を考慮した場合は、受取始めてから11年と2ヵ月後なので、76歳ぐらいで元が取れる感じです
134ヵ月(11年と2ヵ月) = 5,372,975円 ÷ 4万円
ケース② 30歳女性(課税所得300万円)
国民年金基金の加入プラン
- 1口目 A型(掛金11,990円)
- 2口目以降 Ⅳ型×2口(掛金2,705円×2口)
- 払込期間30年
- 所得税と住民税が、合計で年間42,198円(概算)軽減
掛金額
月々 17,400円 = 11,990円 + 2,705円×2口
年間 208,800円 = 17,400円 × 12ヵ月
総額 6,264,000円 = 208,800円× 30年
税の軽減を考慮した場合
総額 4,998,060円 = (208,800円-42,198円)× 30年
受取額
1口目のA型が65歳から月々2万円受け取れますが、Ⅳ型は60歳~70歳に2口で月々2万円です。
60歳~65歳 年間24万円 = 月々2万円 × 12ヵ月
65歳~70歳 年間48万円 = 月々4万円 × 12ヵ月
70歳~終身 年間24万円 = 月々2万円 × 12ヵ月
掛金額に対し受取額の方が多くなる年齢
81歳で受取総額は624万円なのでだいたい元が取れる感じで、税の軽減を考慮した場合は76歳ぐらいです。
65歳までの受取総額は、120万円 = 24万円 × 5年
70歳までの受取総額は、360万円 = 120万円 + 年間48万円 × 5年
76歳までの受取総額は、504万円 = 360万円 + 年間24万円 × 6年
81歳までの受取総額は、624万円 = 360万円 + 年間24万円 × 11年
【結論】国民年金基金に入るべきか?
国民年金基金を大まかに計算すると、81歳ぐらいで元が取れるのはわかりました。
税の軽減を考慮した場合はもっと早く、76歳頃には元が取れる計算です。
しかし、加入判断は難しいと思います。
なぜなら、他にも考えなければいけないことがあるからです。
国民年金基金に加入する前の注意事項
- 自分の都合で任意に脱退することはできない。(1口まで減らすことは可能)
- 掛金は全額が所得控除されますが、所得額により軽減される税額が異なります。
- 将来は物価が上がり、お金の価値が低くなる可能性がある
- 受け取る年金にも税金がかかる場合があります。
- 付加年金には入れなくなります
- 掛金の合計額は、iDeCoと合わせ月額 68,000円が上限
以上のことから、お金に余裕があるなら加入してもよいけど、余裕がないなら入る必要はないという結論です。
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