NFTアートを購入することで、どのような権利を得ているか理解していない方も多いと思います。
通常は、NFTアートを購入したからといって著作権も所有権も得ていないので、商用利用することもできません。
何に対して高い代金を支払っているのだろう?

NFTアート購入者は、著作者が許可している利用方法の範囲内で利用することができます。
では、NFTアートの著作権や所有権などの権利関係について、もう少し詳しく説明したいと思います。
もくじ
NFTアートの著作権と所有権
著作権はクリエイターにある
著作権は、思想又は感情を創作的に表現した時に自動的に発生する権利です。
当然ですが、NFTアートの著作権はクリエイターにありますね。
NFTアートの取引時、通常は著作権の譲渡はしませんので、NFTアート購入者は著作物の複製や変形をさせてはいけません。
以下は、著作権法の条文です。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(複製権)
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。(翻訳権、翻案権等)
著作権法
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
勝手に著作物をネットにアップするのもダメだよ。

著作者が商用利用を許可しているのであれば、自由にグッズなどを制作し販売することができます。
ココナラなどでNFTアートの依頼をする時なども、著作権が譲渡されるかどうか確認しましょう。
NFTに所有権は無い
NFTアートを購入したのに所有権を得ることができないのは、そもそもNFTアートは有体物ではないため所有権が発生しないからです。
以下は、民法の条文です。
(定義)
第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。(所有権の内容)
民法
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
話は変わりますが、NFTアートの画像データはブロックチェーンに刻まれているのでしょうか?
ブロックチェーン上に全てのデータを記録することをフルオンチェーンと言いますが、画像データまで記録しているNFTアートは少ないです。
理由は、データ量の関係で難しいから。
なので、外部サーバーに画像データを保存し、ブロックチェーンには画像データのURLが記録されているNFTアートは多いです。
つまり、私達がNFTアートを購入する行為は、画像データが紐づいたトークンを購入しているだけになりますね。
画像データがどこに保存されているかは重要だね。

商用利用可能なNFTアート
NFTプロジェクトには、ホルダーに商用利用を許可しているものもありますので紹介します。
DYOR(Do Your Own Research)で商用利用してくださいね。

Bored Ape Yacht Club (BAYC)

BAYCは、退屈な類人猿のNFTコレクション。
多くの有名人が購入していることもあり、人気があって価格が高騰しています。
0.08ETHで1万体販売されましたが、2022年7月現在のフロア価格は100ETH(約1,500万円)ぐらい。
Hashmasks

Hashmasksは、16,384体のユニークな肖像画のNFTコレクション。
世界中の70人以上のアーティストによって作成されました。
2022年7月現在のフロア価格は0.4ETH(約6万円)ぐらい。
metaani GEN

ネコ、イヌ、ウサギ、コアラ、シカの形をしたアバターのNFTコレクション。
アートとアバターを併せたメタアニという可愛らしいキャラクターをメタバース空間で利用することができます。
2022年7月現在のフロア価格は0.16ETH(3万円弱)ぐらい。
【まとめ】NFTを盗まれないように注意
著作権はクリエイターにありますので、通常はNFTアート購入者であっても商用利用できません。
グッズ販売などをする場合は、商用利用が許可されているか確認しましょう。
商用利用を許可されている場合でも、盗まれた場合は商用利用できなくなるので注意が必要です。
どのような権利に基づき取り返せばいいのだろうか?

NFTアート購入者は、画像データが紐づいたトークンを購入しているだけなので、著作権も所有権もありません。
NFTは法的に未整備な部分も多く、盗まれても取り戻すのは難しいようです