もくじ
SBT(Soul Bound Token)とは
SBTとは、譲渡不可のNFTのことです。
2022年にイーサリアムの創設者ヴィタリック・ブテリンらにより提唱されました。
Soul Bound Token を日本語に訳すと、「魂に縛られたトークン」という意味になります。
SBTはゲームから着想を得たようです。

NFT(Non-Fungible Token)は非代替性トークンという意味で唯一無二です。
一般的なNFTは、主ににアートやゲームアイテムとして利用されていて、譲渡や売買は行えますので金銭的な価値があります。
NFTの所有者は、ただNFTを所有しているだけであって、アイデンティティ(自身の特性)を示すものではないですね。
匿名で信用を担保するものもないので、実社会の経済活動と結びつきづらいです。
そして現状、暗号資産の売買が中央集権型の取引所を利用するように、NFTもOpenSeaなどの中央集権的なプラットホームに依存しています。
真に分散化されたWeb3とは言えないよね。

SBTは譲渡や売買を行えませんので、金銭的な価値はありません。
SBTはウォレット(ソウル)に紐づくので、そのウォレットのアイデンティティを表すものとなります。
デジタルIDや、改ざんできない情報の証明などとして、実社会の経済活動と結びつきます。
DApps(分散型アプリ)やDAO(分散型自立組織)に利用され、それらよって生まれる生態系は、分散型社会(DeSoc)と呼ばれます。
ソウルには、信用や評判が紐づくんだね。

悪い履歴も残ってしまうリスクや、ウォレットを失うリスクも考えられますが、技術が発展していくにつれてこの辺の問題も解決されていくと思います。
ウォレットを失うリスクには、コミュニティの承認によってウォレットが復元される方法などが考えられているそうです。
アイデンティティはコミュニティによって確立するものなので、周りの人間によって自分がどのような人間かわかるというわけですね。
今後考えられるSBTの活用例
SBTの活用例として、具体的には以下のようなものです。
- 本人確認
- 学生証、社員証、資格証明書
- 学歴証明、社歴証明
- 身体、医療情報
- イベントのチケット
- 出席証明、参加証明
- 会員証
- 信用履歴
- DApp(分散型アプリ)
- DAO(分散型自律組織)
- 賃貸契約
例えば、信用履歴として機能すれば、SBTを元に融資を受けれるようになるかもしれません。
過去に返済した実績や、信用に値する証明があれば、無担保でも融資をしやすいですよね。
DAO(分散型自律組織)では、トークンにより意思決定を行いますが、トークンの保有量ではどうしても資金力が物を言います。
一人で複数のアカウントを操るシビル攻撃なども考えられますね。
コミュニティへの貢献度など、資金力以外の基準によって、公平な意思決定が可能になることが期待されます。
エアドロップ(無料配布)する際にも、ボットや複数アカウントなどを利用し、不正にトークンを得ようとする輩はいます。
SBTによって、真に届けたいユーザーにトークンを届けることが可能になります。(ソウルドロップ)
実際に発行されたSBTの例
バイナンスのBABトークン
仮想通貨取引所のバイナンスが、SBTであるBAB(Binance Account Bound)トークンを2022年に発行しました。
バイナンスで本人確認を完了しているユーザーが、BABトークンを手に入れることができます。
トークン保有者は、様々なWeb3プロジェクトにおける限定NFTや、トークンのエアドロップ、ゲーム内特典などが付与されるようです。
LLACのオンラインショップの会員証
Live Like A Cat(LLAC)は、「猫のように生きる」をコンセプトにした国産のNFTプロジェクト。
グッズ企画・販売のオンラインショップ「またたび屋」を運営しているのですが、会員証をSBTで発行しています。
SBT保有者は、割引購入や限定コミュニティへ入れたりするようです。
フルオンチェーンなので、画像など全てのデータがブロックチェーンに刻まれます。

【まとめ】SBTがアイデンティティの証明になる
SBTは、自分がどのような人間なのか、個人のアイデンティティの証明になると思います。
そして、個人情報を個人が主体的に管理するようになります。
現実世界の目に見えない信用や評判は、SBTによってデジタル社会へと結びつきます。
SBTは、分散型社会(DeSoc)を形成する構成要素として、今後社会インフラとなることが期待されます