絵を描くときに、他人が描いたイラストや、他人が撮った写真を参考にすることがあると思います。
トレースしてパクることをトレパクと言うそうですが、トレースや模写をすると著作権的にはグレーになってきます。
たまに漫画家が、他の漫画の構図やポーズをそのままパクリ、問題になることがありますよね。
もちろん、他人のイラストとほぼ同じものを、自分の作品としてネットにアップしたら、著作権侵害の可能性が高いです。
では、写真をもとにイラストを描いても問題になるのでしょうか?
イラスト、写真、どちらを元に模写やトレースしても、類似性が高い場合は著作権侵害になる可能性があります。
ちなみに、写真に人物が写っていて模写やトレースするなら肖像権も関係しますので注意。
私がまだ学生の頃、他人の写真を一部模写した絵を、展示会に出品したことがあります。
まだ子供だったので、著作権のことなどあまり気にしてませんでしたが、今思えば著作権的にグレーです。
ネット社会になり、漫画やアニメのキャラクターを描いてSNSにアップする人が多いですが、著作権侵害の可能性があることを知っておいた方がいいと思います。
イラストや写真のトレースが著作権侵害になる類似性とは

思想又は感情を創作的に表現したものには著作権があり、イラストや写真は著作物になります。
トレースや模写をして既存の著作物と類似性が高い場合は、複製する行為にあたり著作権侵害になる可能性があるのです。
では、どれくらい類似していれば、著作権侵害になるのでしょうか?
それは、
既存著作物の表現上の本質的特徴部分を、新しい著作物からも直接感得できるかです。(パロディ・モンタージュ事件参照)
つまり、本質的特徴部分以外が共通していても著作権侵害にならないですが、正直その判断は難しいと思います。
それに、親告罪なので著作権者が著作権侵害だと訴えればトラブルにはなりますし、それを判断するのは裁判所です。
なので、著作権を侵害してないと思っても訴えられる可能性はありますし、侵害していると思われる場合でも訴えられないこともあります。
同人誌などは、訴えたケースもありますが、ある程度大目にみられているようです。
↓法律事務所のサイトに、裁判所の事例が掲載されていたので参考にどうぞ
イラストや画像の著作権侵害の判断基準は?どこまで類似で違法?(弁護士法人 咲くやこの花法律事務所)
著作権侵害にならないように工夫しよう

トレースする場合、著作権者の許可を得れば問題ありませんが、なかなか難しいのが現状だと思います。
なので、もし他者の著作物を参考にするにしても、著作権侵害にならないように工夫する必要があります。
著作権侵害にならない
- 創作性がなく著作物にあたらないやイラストや写真の複製
- 既存のイラストや写真を参考にしなかったが、たまたま類似してしまった場合(依拠性がない)
- 公開しないで私的使用のみならOK(著作権法第30条)
- 自分で撮った写真をトレース
- 著作権的に問題ないことを規約で確認したフリー素材を使う
- 複数の素材を参考にイラストを描いて、類似性を少なくする
- 著作権の保護期間(70年)が経過した著作物をトレース(著作権法第51条)
著作権侵害になる
- 原作者の許可を得ていない同人誌などの二次創作物
- たとえトレース元を明示してもダメ
- 作者を尊敬しているのでオマージュと言ってもダメ
- 無料で公開されているものでも勝手に複製はできない
【まとめ】トレースは著作権的にグレーな部分が多い
トレースに関して著作権を調べてみると、グレーな部分が多いと感じます。
絵描きは、他者の作品をトレースや模写して学ぶこともありますし、パロディ、オマージュなどの表現方法で作品を創作することもあります。
それに、空想で絵を描くとリアリティに乏しくなりますので、何かを参考に描くことが多く、完全にオリジナルとするのは難しいと思います。
なので、他者の写真やイラストを参考にしてもいいのですが、著作権を侵害しない程度にするのが無難だと思います。
同人誌などは著作権的には問題がありますが、原作をリスペクトすることで許されている部分がありますし、逆に悪いイメージを与えかねない内容だと訴えられています。
結局は、著作権者がどのように思うかが大切ではないでしょうか。
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