国民健康保険料が高いと感じている人は多いのではないでしょうか。
所得や家族の人数などによって異なるのですが、住んでいる自治体によっても大きな差があります。
なんと、一番安い自治体に比べ倍以上高いこともあり得るんです。
それでは、国民健康保険料の計算方法と安くする方法を簡単に説明したいと思います。
社会保険と国民健康保険の違い

個人事業主が加入する国民健康保険と、会社員が加入する社会保険の主な違いは以下になります。
国民健康保険 | 社会保険 | |
---|---|---|
保険料の負担 | 本人 | 会社と従業員が折半 |
支払方法 | 市区町村が計算し 自分で支払い | 会社が計算し 給料から天引き |
扶養制度 | なし | あり |
社会保険は会社が半分負担しているため、保険料は実際より少ないように感じるかもしれません。
ですが、結局は会社の利益から支払うため、従業員が負担しているようなものだと思います。
国民健康保険は扶養制度がないため、家族が多いほど保険料が高くなります。
国民健康保険料の計算方法

国民健康保険料は、医療分、支援分、介護分の3つで構成されいます。
介護分は、40歳~64歳までの方が納めますので、40歳未満の方は納める必要はありません。
それぞれ限度額が決まってますが、ここ数年引き上げられていますので、年収が高い方は注意してください。
医療分 + 支援分 + 介護分 = 国民健康保険料
内容 | 限度額(令和6年) | |
---|---|---|
医療分(所得割+均等割+平等割) | 医療費の財源 | 65万円 |
支援分(所得割+均等割+平等割) | 後期高齢者医療制度の支援金 | 24万円 |
介護分(所得割+均等割+平等割) | 介護保険制度の財源。40~64歳が納付。 | 17万円 |
計 106万円 |
医療分、支援分、介護分の3つそれぞれ、所得割、均等割、平等割の合計で求められます。
- 所得割:世帯に属する被保険者の所得に応じる
- 均等割:被保険者数に応じる
- 平等割:世帯ごと
他に資産割を採用している自治体もあるかもしれませんが、少ないと思いますので省略。
所得割と均等割のみで平等割を採用していない自治体もあります。
国民健康保険料は、自治体により大きく異なりますので、住んでいる自治体に確認しましょう。
例えば、札幌市の場合は以下のように決まってます。
所得割 | 均等割 | 平等割 | |
---|---|---|---|
医療分 | (所得ー基礎控除額)×9.59% | 19,350円×加入者数 | 33,270円(一世帯) |
支援分 | (所得ー基礎控除額)×3.00% | 6,200円×加入者数 | 10,660円(一世帯) |
介護分 | (所得ー基礎控除額)×2.73% | 5,670円×40~64歳の加入者数 | 7,850円(一世帯) |
所得(収入-必要経費)は、社会保険料控除や扶養控除などの所得控除前の金額です。
基礎控除額は、住民税の基礎控除額で43万円になります。
確定申告または住民税申告をした株式譲渡所得なども含まれますので注意してください。
保険料を安くする方法

所得割の計算の元となる所得は、所得控除をする前の金額になりますので、基本的には必要経費を忘れずに計上することが大事です。
保険料を安くする方法を、いくつかピックアップしました。
国民健康保険組合の保険
個人事業主は、国民健康保険の代わりに国民健康保険組合に加入することもできます。
国民健康保険組合は、特定の業界や職種の人が加入できる保険で、組合ごとに加入条件や保険料が異なります。
国民健康保険とは保険料の計算方法が異なり、所得に関わらず保険料が一定になります。
例えば、文芸美術国民健康保険組合は、芸術家やインテリアコーディネーターなどが加入することができます。
青色申告の特別控除
確定申告の書式には、青色申告と白色申告があります。
青色申告は、事前申請することで、最大65万円の特別控除を受けられます。
国民健康保険料も、青色申告の特別控除後の所得を元に計算されます。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
事前手続き | 必要 | なし |
記帳方式 | 複式簿記 | 単式簿記 |
特別控除額 | 最大65万円 | なし |
国民健康保険料の軽減・減免
法令が定める所得基準を下回る世帯については、均等割と平等割が軽減されます。
ただし、被保険者全員の所得状況が必要なため、所得不明な方がいると適用されません。
軽減割合 | 所得が下記の金額以下の世帯(令和6年) |
---|---|
7割軽減 | 43万円 +(給与・年金所得者の数-1)×10万円 |
5割軽減 | 43万円 + 29.5万円 × 被保険者数 +(給与・年金所得者の数-1)×10万円 |
2割軽減 | 43万円 + 54.5万円 × 被保険者数 +(給与・年金所得者の数-1)×10万円 |
その他にも、倒産や解雇による離職、災害などで保険料を納めるのが困難な場合、減免などを受けれることがありますので、詳しくは自治体にご確認ください。
クレジットカードで納付
クレジットカードで納付すると、ポイントが付きますので、実質的に国民健康保険料が少し安くなったようなものです。
例えポイントが1%だとしても、その得した分を働いて稼ぐのは大変だと思います。
【まとめ】必要経費を忘れずに
個人事業主の国民健康保険料を安くするには、必要経費を忘れずに計上し所得を低くすることです。
国民健康保険料の安い所に引っ越すという方法もあるかもしれませんが、生活環境やその他生活費も絡んできますので、難しいかもしれないですね。
国民健康保険料を支払うと、社会保険料控除として所得控除できますので、所得税と住民税を少なくすることができます。
青色申告の特別控除は、所得税、住民税、国民健康保険料すべてで控除できますので、節税効果は大きいと思います。