個人事業をしている場合、確定申告をするので所得税についてはなんとなく分かると思います。
住民税も、所得税の確定申告で提出されたデータを元に計算されるのですが、自分では計算しないのでよくわからないですよね。
住民税は、地方自治体に納める地方税です。
個人事業主の場合は、住民税を自分で納める普通徴収という方法になります。
それでは、住民税の計算方法と安くする方法を説明したいと思います。
※この記事では、定額減税は考慮しません。
課税所得金額とは

住民税も、所得税と同様に課税所得金額を元に課税されますので、課税所得金額を計算します。
まずは、収入金額から必要経費を引きます。
収入金額 - 必要経費 = 所得金額
必要経費は、以下のようなものなどが考えられます。
- 家賃
- 電気代
- 通信費
- 交通費
収入金額から必要経費を引いた後は、所得控除を引きます。
所得金額 ー 所得控除額 = 課税所得金額
所得控除は、以下のようなものなどがあります。
- 基礎控除:43万円
- 社会保険料控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 医療費控除
これで、住民税の計算の元となる課税所得金額が決まります。
ちなみに所得控除額は、所得税と住民税では多少異なりますので、課税所得金額も同じにはなりません。
所得税の基礎控除額は48万円。

住民税の計算方法

住民税は、課税所得金額を元に計算される所得割と、所得に関わらず定額の均等割の2種類があります。
- 所得割:課税所得金額 × 税率10% ー 税額控除額
- 均等割:約5,000円。自治体により多少異なる。
所得割10%の内訳
- 市町村民税:6%
- 都道府県民税:4%
均等割約5,000円の内訳
- 道府県民税:約1,000円
- 市町村民税:約3,000円
- 森林環境税:1,000円
2023年度までは、大震災の特例で均等割の道府県民税と市町村民税が、それぞれ500円引き上げられていたようですね。
2024年度からは、大震災の特例は無くなりましたが、均等割と併せて森林環境税(国税)が1,000円徴収されるようになりました。
なので結局、約5,000円掛かることに変わりはないようです。
税額控除は、以下のようなものなどがあります。
- 配当控除
- 外国税額控除
- 寄附金税額控除
- 調整控除
所得割額と均等割額の2つの合計金額が、住民税額になります。
所得割額 + 均等割額 = 住民税額
住民税を安くする方法

基本的には、必要経費と所得控除、税額控除を忘れずに利用することになります。
住民税を安くする方法を、いくつかピックアップしました。
青色申告の特別控除
確定申告の書式には、青色申告と白色申告があります。
青色申告は、事前申請することで、最大65万円の特別控除を受けられます。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
事前手続き | 必要 | なし |
記帳方式 | 複式簿記 | 単式簿記 |
特別控除額 | 最大65万円 | なし |
住民税の非課税限度額
所得金額(収入ー必要経費)が以下の方は非課税になります。
- 所得割:所得金額 ≦ 35万円 × 世帯人員数 + 10万円 + 32万円(※)
- 均等割:所得金額 ≦ 35万円 × 世帯人員数 + 10万円 + 21万円(※)
※ 32万円,21万円は、同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合のみ加算
均等割は、住んでいる地域により、基本額35万円と加算額21万円に以下の率を乗じます。
級地区分 | 率 |
---|---|
1級地(東京23区、指定都市など) | 1.0 |
2級地(県庁所在市、一部の市町など) | 0.9 |
3級地(一般市・町村など) | 0.8 |
例えば、独身で田舎(3級地)に住んでいる個人事業主の場会、非課税限度額は以下になります。
所得割は、35万円 × 1人 + 10万円 =45万円
均等割は、35万円 × 0.8 × 1人 + 10万円 =38万円
非課税限度額は、住んでいる自治体に確認してね。

ふるさと納税の利用
好きな自治体にふるさと納税(寄附)をすると、寄附金額の2,000円を超える部分について、一定限度額まで全額が控除されます。
ふるさと納税は、住民税だけではなく、所得税も併せて控除されます。
まだふるさと納税されてない方は損をしていますので、ふるさと納税サイトでシュミレーションしてみてはどうでしょうか。
クレジットカードで納付
クレジットカードで納付すると、ポイントが付きますので、実質的に住民税が少し安くなったようなものです。
例えポイントが1%だとしても、その得した分を働いて稼ぐのは大変だと思います。
【まとめ】必要経費と控除を忘れずに
個人事業主の住民税を安くするには、必要経費や控除を忘れずに利用し、課税所得金額を低くすることです。
かといって、必要経費に私的なものを含めたりして脱税をしてはいけません。
プライベートと事業が混在している場合は、家事按分をしっかり行いましょう。
住民税を安くすることを考えてしまうのは仕方がないですが、税金は行政サービスの財源になっています。
みんながズルして財源が少なくなると、行政サービスをまとも受けられなくなることも考慮したいものです。